プレジデントオンラインと言うサイトに、少し前ですが、中田達也と言う立教大学の先生が書いた「英語はネイティヴに習ったほうがいい」とは限らない…英会話スクールの謳い文句にダマされてはいけない理由」非常に興味深い記事がありました。
ほんとに共感、賛同することばかりです。いつも私が吠えまくっていることを大学の先生が論理だてておっしゃっているというのは、心強いものです。
ネイティブは説明が苦手
大学の先生なので、「手続き的知識」や「宣言的知識」など、途中難解な学問用語(?)が書いてあり、ネイティブは「宣言的知識」(declarative knowledge)がないので必ずしも講師としてふさわしいとは言えない、という旨をおっしゃっています。
簡単に言うと、ネイティブだって英語のルールについてなんでそうなるのかよくわからない(説明できない)、ということです。
これは日本人にとっての日本語でも同じで、この記事にも私たち、日本人が日本語のルールについて説明できないと言う例がなっています。
**日本語でも、「『食べる』という動詞は五段活用ですか? 下一段活用ですか?」「『楽しい』と『うれしい』はどう違いますか?」「『は』と『が』はどう違いますか?」ときかれて、即答できる人は多くないでしょう。
英語はネイティヴに習ったほうがいい」とは限らない…英会話スクールの謳い文句にダマされてはいけない理由
悲報:ネイティブに様には話せない!
ネイティブに習ってもネイティブにはなれない
日本人が、ネイティブ講師に英語を習いたい、英会話の授業を受けたい最も大きな理由は「ハリウッドムービーのアクターのようにネイティブイングリッシュをペラペラに話し、さっそうとアメリカンなライフをエンジョイしたい」というのもでしょう。日本人や他の国の人たちに教わってしまうと、変な発音、変なアクセントがついてしまうと。(ちなみに「オーストラリアの英語は、発音が変だからオーストラリア人の先生には教わらない」などという人が、今でもいるのです。)
しかし、これは幻想です。残念ながら、映画のような英語を話せるようにはなりません。
この記事でも、英語ペラペラ幻想について
ネイティヴ講師に習いたい方が後を絶たないのは、「ネイティヴ・スピーカー(母語話者)のように英語を話せるようになりたい」と夢を抱く方が多いからかもしれません。しかし、2歳~10代後半頃までに英語圏に移住しないと、母語話者のような英語力を習得するのはきわめて困難になることが示されています。
英語はネイティヴに習ったほうがいい」とは限らない…英会話スクールの謳い文句にダマされてはいけない理由
と意識高い系の願望を打ち砕いてくれます。
ネイティブ至上主義が英語力を下げている
こんなネイティブ発音どうのこうの、などと言っているから簡単な英語さえ話せず、外国人に話しかけられると、たとえそれが外国人が日本語で一生懸命話しかけてきたのであってもパニックになり逃げていくようになるのです。
アジアで最も英語が話せない国の一つに挙げられてしまうのです。
英語は「通じる」+「知的」を目指す
また著者は、ネイティブの英語力を目指すことの非生産性についても書かれています。
英語は今日では、事実上の国際的な共通語として用いられており、外国語として英語を話す人の方が、母語として話す人よりもはるかに多いと推定されています。非母語話者が主流で母語話者が少数派なわけですから、ネイティヴ・スピーカーのような英語力を目指すのは時代遅れでしょう。
英語はネイティヴに習ったほうがいい」とは限らない…英会話スクールの謳い文句にダマされてはいけない理由
これも本当にその通りです。前のブログにも書きましたが、英語話せる人のほとんどは他の言語が母国語です。そしてそのネイティブ英語と言う定義も、大体はアメリカンイングリッシュ、ブリティッシュイングリッシュを指すと思いますが、この人たちは少数派です。
加えて、
筆者はニュージーランドの大学院に留学していましたが、「アメリカの会社に電話をかけたが、こちらの発音が通じず困った」とニュージーランドの方が言っていたのを聞いたことがあります。
英語はネイティヴに習ったほうがいい」とは限らない…英会話スクールの謳い文句にダマされてはいけない
と、ネイティブスピーカーの人たちだって、お互いの英語を「発音変だなー」と思っているのです。
気にすべきは英語の語彙力
発音にこだわりすぎるのは本当にバカバカしくなりませんか?
ネイティブ発音ではない世界のトップ
英語がそれぞれの母国語なまりでも十分に通じますし、それぞれの分野で活躍できます。以前も書きましたが、I.O.C(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は「どこのどいつだ?」と思っていたらドイツ人、WHO(世界保健機関)のトップ、テドロス氏はエチオピア人、前のIMF(国際通貨基金)トップのラガルド氏はフランス人で、みなネイティブ英語ではない、訛りのある英語を話して巨大機構を率いています。
上記動画はラガルド氏のECB総裁としてのスピーチです。
語彙力が英語力
このようなトップになるためには様々必要でしょうが、英語だけに絞って言えば、重要なことは、「知的」な英語を話せる、ということです。そしてその「知的さ」はどこから来るかというと、語彙力です。
難解な言葉を使う必要はありませんが、言葉を言い換えたり、表現を変えたりする、というのは日本語でもありますし、それが人の知性を測る物差しの一つでもあります。
ずんだシェイクをを飲んだ時、トムヤンクンを飲んだ時に「やべー」というか、「冷たくて、甘い。緑豆が鼻腔を刺激する」、「酸味と辛み、そしてエビの味が作り出すハーモニー。目をつむればチャオプラヤ川へ沈む夕日が見えてくる」とウザいことを、言わないにしても、英語で言えるかどうかです。
そのためには英語の本の音読だ
それには本を音読するしかありません。英語の本を丸覚えするくらいに音読して、語彙、知識を身に着けるとともに、英語を口から出す練習を同時にするのです。
「語彙」「知識」は知っているでは不十分で使えません。それらを使えるように「音読」することで、これらが初めて戦力となります。
日本においてできることはこれです。英会話などに手を出してはいけませんよ。
私自身が英会話に多くの無駄金を費やしすなどして、英語を習得してきました。もっと効率的な勉強方法がなかったかな、と振り返ると、もっと早く音読をしておけばと思います。
次の世代に同じ無駄を踏んでほしくはありません。本日から認識を改め、すぐにでも音読を始めましょう。