一昨日、1人の社会人生徒さんから、
「どういった勉強されてきたんですか?音読ってやっぱりいいんですかね?」
と、改めて質問をされました。
改めて疑問を持ったこと、またそれをしっかりと口に出して質問して解決しようとしたことに敬意を表します。と同時に、しっかりと私たちのコンセプトをお伝えできていなかったなぁ、と反省をいたしました。
もう一度、「なぜ英語教室に通うなら、英会話ではなく英語音読なのか」と言うことを、系統立てて考えてみました。
英語を話せるとは?
英語を話すための三つの要素
「英語を話せる」とはどういった状態なのか。英語学習の目的地を決めるために、明確にする必要があります。
これについては、今回の趣旨とは少しずれるのでさらっと触れます。
私の考える、私たちの目標とする英語を話せると言うのは、ざっくり言うと
「職場、仕事、学校などで、誤解なく、知的なコミニケーションを英語で取れる」
と言うものです。旅行で通じる英語や日常英会話を目標としていません。(ちょっとボヤっとしていますが)
英語を話すのに必要な要素
そのような「英語を話せる」状態になるには、
- 語彙力
- 聞く力
- 話す力
の3つが必要だと思ってます。
関係を示すと下記の通りです。
英語の語い力
語彙力と言うのは、英語力の基本=土台です。知らない言葉は絶対に聞き取れませんし、理解できませんし、その言葉は口から出てきて話すことができません。
またここでは、言葉だけでなく、言い回し、表現方法なども含みます。
聞く力
相手の言う言葉を理解することです。
語彙力があっても、耳が慣れていなければ、知っている言葉も聞き取れず、頭に入って来ません。
話す力
これも「語い力」があっても、自動的に話せるようになるわけではなく、語いを英語の用法に基づいて話す必要があります。
また相手の言うことを聞くことができても、話す事は自動的にできるにはなりません。
英語を話すには3つをまんべんなく
「聞く力」、「話す力」は相互補完的なのかもしれませんが、語い力は別個に鍛えていく必要があります。
また上記二つがいくら優れていても、語い力がなければ、相手の言うことは理解できませんし、内容のある話をすることができません。
これら3つの要素を向上させていくことで、英語のコミニケーションができるようになのです。
音読はこの3つにどう貢献するのか?
音読は「発音する」ことではない
ここで「音読」とはどういうことをいう言うのか?よくある勘違いですが、私たちの言う「音読」は「発音する」ことではありません。
英語の音読は大体が「発音して」みる、と言うことを指しているようですが、私たちの言う音読は「本(文章)を音読する」と言うことです。
この違いは結構重要な点です。
ただ単に英語や分を読み上げるのではなく、一連の文章を読むのです。
音読は覚えやすい
本の音読は、上に挙げた要素の語い力の獲得に大きく貢献します。語彙力を獲得すると言う事は、「覚える」ことが必要です。
反復性に優れる
「覚える」には、何度も目にしたり、聞いたり、読んだりする、反復の必要があります。音読は、本が1冊あれば、いつでも、どこでも、何度でも読むことができます。
英会話はそうはいきません。相手が必要だったり、内容が単調なので、音読のようにはいきません。
ストーリー性が記憶に残る
本や文章は、流れ、ストーリーがあるので頭に残りやすい。頭に残るということは、それだけ記憶できるということです。
また、一か所を思い出すと、芋ずる式に記憶がよみがえります。
長い文章よりも、単語だけや、短い文の方が、記憶する量が減り、一見効率が良いように思えます。しかし、実際は短い単語は頭に残しずらく、きっかけもなく思い出しづらい。短い単語、文は、記憶しやすさという点では、実は優れていないのです。
音読なら知的表現も
また、本を読めば専門用語や知的な表現を獲得することもできます。英会話をいくらやっても、こういった表現は獲得できません。
ただ単に英語が話せるだけではなく、教養ある日本人として活躍してもらう、というのが私たちの願いでもあります。
スクールでの時間の使い方も優れる
スクールには何をしに行くのか
多くの人にとって、英語教室に通うのは多くて週に2回、大体の人は1回と言うのは現実でしょう。
その貴重な時間を、英会話と言う「おしゃべり」に費やしてしまうのはもったいないです。
ネイティブの表現を学ぶ、と言う方々たまにおられますが、ネイティブ表現はネイティブからお金を払って教わらなくても世の中に溢れています。本屋に行けば所狭しとネイティブ表現の本が並んでいます。
ネイティブの英語だって聞くのは簡単。YouTube、TEDなどはもちろん、インターネットでいくらでも探すことができます。
いわば、お金を払って英語を習いに行く、と言うのは時間とお金の使い方としてもったいないのです。
英語強度も強く
また、その貴重な通塾時間に、皆さんはどの程度英語に触れているのでしょうか?
生徒が5人の場合、通常のグループ英会話レッスンだと半分以上の時間はあなたは受け身のモードで過ごしています。
これはグループレッスンであれば仕方のないこと。皆平等にレッスンを受けたい。そうなると、1人が英語を話している時間は、他の人の待機時間。無為な時間が流れて行ってしまいます。
子供の場合はこの傾向がもっと顕著で、自分の私もそうでしたが、指をいじったり、爪を向いてみたり、足をブランブランさせる、全く身に付きません。
子どもは英会話なんてもったいない
特に子供の場合、しばらく使わない日常英会話を習ってどうするんでしょうか?
そもそも考えてみれば、子供が言葉を獲得する段階や、その後でも、「会話」を目的とした教育をしてきましたか?
おそらくしていないでしょう。
行ってきた事は絵本の読み聞かせや、本を口に出して読む音読をしてきたはずです。子供の頭がスポンジのように何でも吸収するときに、内容の薄い、日常英会話などをやる必要ありません。
子どもの学びが、絵本などの本を読んできたように、英語の本を読んでどんどん知識を吸収していけばいいのです。
最後に英会話ビジネスと日本の現状から
英会話教室は昔からありました。私が子供の頃は「駅前留学」などと言って、英会話がブームとなり、その数は増加しました。
私自身も、英会話に通った経験もあります。しかし現在の状況見てみてください。
日本人の英語力は高まりましたか?英語を話せる人は増えましたか?
答えは自明でしょう。
今まで失敗してきた方法をまた同じくやる、普通はこれを「愚か」と言います。
絶対に落とされる熱湯風呂。「押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよ」は、ネタだから面白いんです。
あれを本気でお風呂に落とされないと思ってやっていたら、単なるお馬鹿さんです。
しかしこのお馬鹿なことが起きているのが英会話なのです。